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別れのことを考え続けてしまう。でも、気持ちを立て直すための長い説明を読む余力はない。
そんな夜に何か読みたいなら、四行の詩を一篇だけ、という選び方があります。
八木重吉の『素朴な琴』。八木重吉記念館の公式サイトで全文を読めます。短いからすぐ意味を説明しようとせず、何が書かれ、何が書かれていないかを眺めてみませんか。
琴を置くところから、音が生まれるところへ
琴は弦を張った楽器。この詩に出てくるのは、明るい場所に置かれた一つの琴。秋の美しさを受け、静かに音を出すだろうというところで終わります。
ここ、誰かが琴を演奏する手順は書かれていないんです。
置く。秋がある。音が生まれそうになる。そのつながりを、四行でたどります。
しかも最後は、実際に鳴ったと報告する結びではありません。鳴るだろう、という想像へ置かれている。
ああ、この終わり方を、今すぐ自分の結論に変えなくていいんだね。
別れの理由や相手の本心を説明する話として読まず、琴と秋の景色の方へ少し目を向けてみる。これは、この詩を読むときの一つの提案です。
詩を読めばつらさが消える、という約束はしません。景色が浮かばない日も、途中で読むのをやめたい日もある。今日は一篇開いたところまで、でもいいよ。
続けて読むなら、同じ名前の詩集の版を確かめよう
ほかの作品も手元で読みたいなら、思潮社の現代詩文庫『八木重吉詩集』が候補です。
出版社提供の紹介では、『秋の瞳』『貧しき信徒』の全篇と、拾遺の詩稿を収録しています。拾遺は、ほかに残された作品を集めたものです。
本を見分ける番号、ISBNは9784783708483。同じ著者の詩集でも、出版社や収録内容が違うので、表紙の名前だけで決めないでね。
最初から詩集を全部読む予定は立てなくて大丈夫。まずは記念館のサイトで、『素朴な琴』の最後の行まで。
何か感想を書かなくても、一語を選び出せなくても、そのまま閉じていい。今夜の読書を、元気になった証明にしないでおこうね。
出典:八木重吉記念館・『素朴な琴』掲載、版元ドットコム・思潮社提供の書誌と紹介。詩の読み方は本文に基づく一つの解釈です。