失恋後、人を信じる話が重い夜に。『手袋を買いに』を、最後の問いまで読んでみよう

※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。

別れたあと、人に優しくされた話を読むだけでも、今日はちょっとまぶしい。そんな夜に、新しい恋へ踏み出そう、と急に背中を押される本は重いかもしれないね。

ここで紹介したいのは、新美南吉の『手袋を買いに』。雪の森に暮らす子狐が、町へ手袋を買いに行く物語だよ。

子どものころに読んだことがある人もいると思う。人間の手へ変えてもらったのに、間違えて狐の手を差し出す、あのお話。

でも今回、もう一度見たいのは、買い物が終わった後なんだね。子狐は、人間は怖くなかったと話す。一方、母狐の言葉は、最後まで問いの形をしている。

二匹の気持ちが、同じ速度でそろうわけではない。その帰り道を、少しゆっくり読んでみよう。

以下は結末にも触れるので、先に物語を読みたい人は青空文庫の公開本文へ。紙で読む候補は、世界文化社の『新美南吉童話集 ごんぎつね・手ぶくろを買いに など』だよ。

目次

最初の怖さは、人間ではなく雪の光。子狐が知らない物に会うところから

物語は、寒い冬の森から始まる。洞穴を出ようとした子狐が、目に何か刺さったと思い、母狐のところへ戻ってくる。

最初から人間の悪さを教わる場面ではないんだね。子狐は、雪を知らない。降り積もった雪が朝の光を反射し、そのまぶしさに驚いている。

母狐は手をどけて目を見ても、何も刺さっていない。外へ出て、白い雪を見て、ようやく理由が分かる。

ここ、子狐が大げさだから、で片付けて読み飛ばしたくないところだよ。

本人には、何か刺さったと思うほどの出来事があった。一方、実際に何が起きたかは、外の景色を見て初めて分かる。感じた驚きと、その原因を確かめる動きが、最初の短い場面に並んでいるんだね。

子狐はその後、雪の上へ遊びに行く。すると今度は、枝に積もった雪が落ちてきて、また驚く。振り返っても敵はいない。樹の枝から雪がこぼれている。

まぶしい。音がする。冷たい。

雪という一つの物に、子狐は身体ごと出会っているんだね。読んでいる側も、早く町へ行っておいで、と先を急ぐ前に、この森の時間へ少し付き合える。

そして、遊んだ子狐の手が冷えて帰ってくると、母狐は息を吹きかけ、自分の手で包む。それから毛糸の手袋を買ってやろうと考える。

物語を動かす用事は、まずこの冷たい手なんだよ。世の中を信じられるかという大きな問いより前に、子どもの手に合う手袋が欲しい、という具体的な必要がある。

失恋した夜に読むなら、この順番のまま入ってみてもいいと思う。自分の気持ちへすぐ意味を当てはめず、子狐の手は冷たいんだな、だから手袋を買うんだな、と目の前の用事を追う読み方だよ。

童話だから、一文ごとに自分の教訓を見つけなくてもいい。雪の光と手の冷たさを読んで、今日はそこで区切ることもできる。町の話は、その次に残しておけるね。

読み返すときは、子狐が驚いた後に何を見たかへ注目しよう。雪に敵意があったわけではないけれど、子狐の驚きがなかったことになるわけでもない。二つを並べて読める最初の場面なんだね。

『手ぶくろを買いに』収録の新美南吉童話集を楽天市場で確認する

母狐が歩けなくなるのは、町を知らないからではないんだね

夜になり、親子は町へ向かう。遠くに一つ、灯りが見える。子狐はそれを低い所にある星のように捉えるけれど、母狐には町の灯りと分かる。

そして、母狐の足が止まる。

母狐は、以前、友達の狐と町へ行ったことを思い出す。友達が止める言葉も聞かず家鴨を盗もうとし、見つかって追い回され、ようやく逃げた。その経験が語られるよ。

つまり、町を何も知らない母親が、理由もなく怖がっている場面ではないんだね。以前の出来事があり、それを呼び戻す灯りがある。

子狐は先へ進みたがる。でも母狐は進めない。二匹が同じ場所に立っていても、灯りを見ている気持ちが違うんだね。

ここを読むとき、母狐は臆病、子狐は勇敢、と簡単に二つへ分けない方が、続きも見えてくる。子狐にはこれから知る町があり、母狐にはすでに起きた町での経験がある。その違いを、物語が先に見せているからだよ。

母狐は、子狐を一人で行かせるため、片方の手を人間の子どもの手へ変える。そして帽子の看板を探すこと、戸を叩くこと、どちらの手を出すかを言い聞かせ、お金を握らせる。

心配しているだけではなく、子狐が買い物をするための具体的な準備をしているんだね。

ただ、母狐が考えた段取りは、人間には狐と分からないようにするもの。子狐がその通りに動けば、安全に買えるはずだと考えている。ここで用意した手と、後で出してしまう手の違いが、物語の真ん中につながっていく。

自分が読んでいる時に、母狐の方が気になる日もあるかもしれない。子狐の早く進みたい気持ちへ目が向く日もあると思う。

どちらかへ自分を完全に重ねる必要はないよ。今は母狐が歩けない所で手が止まった、くらいの読み方でよいんだね。物語の人物を、元恋人や自分の代役に決めてしまわなくても読める。

また、過去に怖い経験があっても一人で町へ出れば変われる、という行動の勧めへ、そのまま持っていかないでね。これは狐の親子の物語。現実の相手や場面の安全を、この結末が代わりに判断してくれるわけではない。

本の中では、母狐の足が止まったままでも、子狐の買い物へ場面が移る。読んでいる私たちも、その止まった足を忘れず、子狐が見つける町を追っていこう。

親子の違う見え方を読み返せる新美南吉童話集を見る

帽子屋は狐の手に気づく。手袋は、だましてもらった物ではないよ

子狐は、町で帽子屋の看板を探す。やっと見つけて戸を叩くと、少し開いた戸から灯りが伸びてくる。その光に戸惑い、出してはいけない方の手を差し入れてしまう。

ああっ、そっちの手!

母狐が何度も言い聞かせた所が、ここで逆になるんだね。買い物の準備は丁寧だった。でも、子狐が初めて出会う灯りの前では、その通りにできなかった。

ここから大事なのは、帽子屋が狐だと気づかなかったわけではない、という所だよ。

帽子屋は狐の手を見て、木の葉で買いに来たのだろうと考える。それで先にお金を求める。子狐が渡した二枚の白銅貨を打ち合わせ、音を聞いて、本当のお金だと確かめる。

その後、子ども用の毛糸の手袋を渡すんだね。

狐を人間だと思い込んだから買えた、という筋ではない。狐の手を見た相手が、お金を確かめて、品物を渡した。子狐の買い物は、ちゃんと取引として描かれているよ。

だから、無料で贈られた優しさの話へ変えたり、帽子屋は最初から全て分かって歓迎したと足したりしないで読もう。相手の動作を順に見るだけでも、この場面の意味は変わってくる。

母狐が予想したのは、狐だと知られたら売ってもらえず、捕まえられるという出来事。でも、実際にこの店で起きたのは、お金を払って手袋を受け取ることだった。

子狐は帰りながら、人間は怖くなかったと考える。自分の手を見せたのに、捕まらなかった。その一度の経験を、子狐がどう受け取るかが書かれているんだね。

ここで読者まで、人間は全員優しいという結論へ急がなくていい。この帽子屋で起きたことと、世界の全ての相手について言えることは、同じ大きさではないからだよ。

逆に、取引だから優しさはない、と切ってしまう必要もないと思う。狐だと気づいてなお、品物を渡すという動きがある。何を確かめ、何をしなかったかを、本文の中で見られるね。

短い場面を読み返すなら、帽子屋がしたことを三つほど、順に追ってみよう。手を見る。お金を確かめる。手袋を渡す。その順番を、子狐が母へ報告する言葉とも比べる。

同じ買い物でも、店の中の動きと、子狐の記憶に残ったことは、少し違う。子狐は、捕まえられず温かい手袋を得た、という経験を持って帰るんだね。

物語の優しさを大きな標語へ直す前に、この二枚のお金と一組の手袋を見ていたい。相手が何をしたかという具体物から読める場面だよ。

帽子屋の場面を本文で追える童話集を楽天市場で確認する

子狐の話は届いた。それでも母狐の最後は、問いのままなんだね

手袋を買った子狐は、帰り道に人間の家から聞こえる子守歌へ耳を向ける。人間の母親と子どもの声が聞こえ、そのやり取りから自分の母を思い、待っている方へ急ぐ。

ここでいきなり、親子は同じだ、という説明が挟まるわけではない。子狐が声を聞き、自分が眠る時の母の様子を思い出す。その音が、帰る動きにつながっているよ。

出発の理由は冷えた手だった。店では手袋を受け取った。そして、声を聞いて母の方へ戻る。手の温かさだけでなく、帰りたい場所へ物語が続いているんだね。

待っていた母狐は、子狐を抱きしめる。それから二匹で森へ帰りながら、子狐は間違った手を出したこと、それでも捕まらず手袋をもらえたことを話す。

母狐は驚く。そして最後に、人間は本当にいいものなのかと、繰り返しつぶやく。

その言葉の先に、もう人間を少しも怖がらなくなった、とは書かれていないよ。

かといって、子狐の話を完全に退けた、と断言する言葉でもない。母狐は、今聞いた出来事へ問いを返している。前に経験した怖さと、子狐が持ち帰った買い物の話。その両方が、最後の言葉の周りに残る。

ここを、すぐに一つの正解へ畳まなくてもいいんだね。

子狐が先に知ったことを、母狐が同じ速さで受け入れたと決めない。二匹は一緒に帰っているけれど、同じ結論を言う場面で終わってはいない。その違いを残して読めるところが、大人になって開く入口になると思う。

失恋した後に読んで、帽子屋の手袋へ目が向く人も、母狐の問いへ戻りたくなる人もいるかもしれない。どちらの感想も、ここで一つへそろえなくていいよ。

物語を読み終えたからといって、今夜のうちに人を信じ直す答えを出す必要はない。いま気になったのが最後の一言なら、そこにしおりを置く。子守歌なら、その場面へ戻る。本文の一か所が残れば、次に開く場所になるね。

もし短くメモをするなら、自分の人生の結論より、気になった場面を一つ書く案がある。母狐の足が止まった所、白銅貨を確かめた所、手袋を見せた所。今日はその一つを選ぶだけでも、読み返す印になるよ。

書きたくなければ、書かなくていい。物語を読み、閉じるだけで終えられる。本を読む時間まで、ちゃんと気持ちを整理しなきゃ、と用事を増やさなくていいんだね。

最後の問いに、作者の代わりの答えを付け足さず、母狐の声がそこで止まるところまで読んでみよう。

最後の問いまで読める『手ぶくろを買いに』収録本を見る

紙で一話ずつ読むなら、収録作と文字の見え方から一冊を選ぼう

今回、紙の候補として確認したのは、世界文化社の『新美南吉童話集 ごんぎつね・手ぶくろを買いに など』。ISBNは9784418218271だよ。

出版社の二〇二六年図書目録では、B5変型判、144ページ、童話十二話と詩二編を収録する一冊として案内されている。『手ぶくろを買いに』のほか、『ごんぎつね』『でんでんむしの悲しみ』、詩の『貝殻』などが載っているよ。

目録の全ページを読む必要はなく、商品を確かめるならPDFの十八ページに同書の案内がある。似た題の文庫や、音声CDのセットと混ぜないようにね。

出版社が提供する書誌紹介では、絵は杉山巧、監修は鬼塚りつ子。大判のソフトカバーで、漢字にふりがなを付けた構成として紹介されている。

長い説明より物語を一つ開きたいけれど、小さな文字は今日は追いにくい。そんな選び方をするなら、判型やふりがなの案内を見る材料になるね。ただし、実際の活字の大きさや行間、紙の色まで同じ紹介文だけで決めず、試し読みや店頭でページを見られるなら確かめたい。

子ども向けの案内がある本でも、大人が読んでいけないわけではないよ。紹介文も小学生から大人までを読者にしている。知っている題名から一話を選べる一冊として、候補にできるね。

一方、同じ作者の童話集でも、全作品が入っているとは限らない。読みたいのが『手袋を買いに』なら、その収録を確かめる。別の短い話も読みたいなら、目次へ。今回の本に、調べただけの別作品まで入っていると補わないようにしよう。

紙の本を買う前に、青空文庫で今回の一話を読んでみる方法もある。画面で読む方法と、紙へしおりを挟む方法。どちらが今の自分に合うかで選べるよ。すでに手元の本に収録されているなら、その一冊を開くところからで十分だね。

なお、この記事で筋や場面を確かめたのは青空文庫の公開本文。紙の本は版ごとに表記や挿絵、編集が違うので、この記事の段落とまったく同じページに同じ形で載ると考えないでね。

購入する場合は、ISBNと、紙の本か電子書籍か、新品か中古かを確認する。同じ検索に音声版などが並ぶこともあるので、読みたい形式へ合わせよう。価格や在庫、届け先の条件は、注文する販売ページで見てね。

届いた本を、初日から一冊通して読む予定にしなくていい。目次で『手ぶくろを買いに』を探し、雪の朝から開く。町まで読みたくなったら続ける。母狐の最後の問いまで来たら、そこで本を閉じる。

温かい手袋を手にした子狐と、問いをつぶやく母狐。その二匹の帰り道を、今夜は一話だけ。

読み終えた後の答えは急がず、気になった場面を、あなたの手元へ残しておこうね。

ISBNをそろえて新美南吉童話集を楽天市場で確認する

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

別れた後の気持ちを整理し、SNSや連絡先の見直し、毎日の過ごし方、新しい生活への準備を実用的に紹介する編集部です。公的機関や公式情報も確認し、無理に答えを急がず次の一歩を考えるための情報を整理します。

目次