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別れたあと、人の楽しそうな話を読むのもしんどい夜があるなら。今日は元気を出そう、という宿題は置いておこう。
短い物語を一つ読む選択なら、新美南吉の『木の祭り』があります。途中で休んだ小さな蝶と、誘われてもためらう蛍。今回は、その二匹のやり取りから読んでみます。
この先は結末にも触れます。先に物語を読みたい人は、青空文庫の公開本文からどうぞ。
最初から元気いっぱいの仲間だけが集まる話ではない
白い花を咲かせた木は、自分の姿を喜んでいます。でも、そばを通る人がほとんどいない。褒めてくれる相手がいないことを、つまらなく思っているんです。
そこから花の香りが風に運ばれ、蝶たちのいる畑まで届きます。蝶たちは木のところへ行き、お祭りをすることに。
にぎやかになるんだな、と先を急ぎたくなるところで、一匹が遅れます。小さなしじみ蝶は羽が弱く、小川のそばで休まなければならない。
その休んだ場所に、蛍がいるんです。
蛍は誘われても、自分は夜の虫だから仲間に入れてもらえないのでは、とためらいます。蝶はそれでも勧め、一緒に祭りへ向かいます。
最初からみんなと同じ速さで飛べた蝶ではなく、途中で休んだ蝶が、ためらう相手と出会う。この順番を、ゆっくり読んでみたいんですよね。
夕方になってから、蛍にできることがある
蝶たちは花の蜜を味わって遊びます。でも日が暮れてくると、暗くなるので遊び続けられないと嘆きます。
そこで蛍が仲間を連れてくる。花の中に蛍が止まり、木は灯りをともしたような姿になります。祭りは夜も続いていくんです。
蛍がためらった理由だった「夜の虫」という違いが、終盤では祭りを続ける力になる。
ああ、ここでつながるんだね。
ただ、この展開を読んだからといって、今すぐ人の役に立たなきゃ、と引き受けなくていいと思います。物語の結末と、自分が今日やることは別です。
小川で休む蝶が気になったなら、その場面で読み終えてもいい。最後の灯りが気になったら、そこへ戻ってもいい。一回で教訓をまとめなくても、読書はできます。
紙の絵本で探す場合には、新美南吉作・司修絵、にっけん教育出版社の『木の祭り』があります。識別番号のISBNは9784434026027。新美南吉には別の絵本もあるので、書名と絵を担当した人まで合わせて探してください。
今夜どの場面まで読めそうか。それくらいの小さな決め方で、ページを開いてみませんか。
出典:青空文庫『木の祭り』全文、絵本の書誌確認:国立国会図書館レファレンス協同データベース。